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2023.08.22

最低限知っておきたい工業規格の基本

歯車はどこの工場で製造しても正確にかみ合うものが作れるよう、規格に沿った歯車製作が行われています。今回は、日本で使用されている規格はもちろん、アメリカやドイツなど世界で使用されている歯車の工業規格についてご紹介します。

1.最適な歯車製作に欠かせない工業規格

歯車の測定には大きく分けて歯車精度測定と寸法測定があります。歯車精度測定では歯車測定機とかみ合い試験機を使用して、歯形・歯スジやピッチ誤差、歯の倒れ、圧力角誤差、変形、かみ合い精度などを測定します。寸法測定では、歯車の外径・谷径や歯圧、穴径などの項目をマイクロメーターやピンゲージ、工具顕微鏡などで測定します。各工業規格によって歯車の測定項目が異なること、過剰な精度追及によるコストアップを防止し最適な歯車製作を実現するために工業規格への理解が欠かせないのです。

2.日本で主に使用される工業規格

1)国際標準化規格(ISO)

国際標準化規格(ISO)は、スイスのジュネーブに本部を置くinternational Organization for Standardizationが制定した国際規格です。「世界中で同じ品質・同じレベルのものを提供」できるように策定され、日本を含む167ヶ国(2021年12月末)で構成されています。

2)日本工業規格(JIS)

日本工業規格(JIS)は、品質の改善、性能・安全性の向上、生産効率の増進等を目的とし、1949年の工業標準化法に基づいて制定された国家規格です。JISは国際標準化規格(ISO)に準拠するため新たに規定された新規格と旧規格があり、現在では主に新規格での歯車製作が行われています。

3)歯車工業会団体規格(JGMA)

日本歯車工業会団体規格(JGMA)は1938年4月に設立され、1960年にJGMA116-01(平歯車及びはすば歯車の両歯面総合かみ合い誤差)を制定。現在では、1983年に国際規格(ISO)へ整合させるため改定したJGMA116-02が使用されています。

3.世界で使用されている工業規格

1)米国歯車工業会規格(AGMA)

AGMA (American Gear Manufacturers Association) は、歯車の製造に関する規格を開発および発行する非営利団体です。米国のアレクサンドリアに本社を置くAGMAは、30 か国以上にある 450 を超えるメンバー企業によって広められています。AGMA 規格は、精度等級の数値が大きいほど精度が高くなります。

2)ドイツ国家規格(DIN)

ドイツ標準化協会であるDIN(Deutsches Institut für Normung e.V.)は、1917年に設立され、ドイツ国内のみならず国際的にも広く参照される規格です。両歯面全かみ合い誤差や両歯面1ピッチかみあい誤差などが精度評価項目にあたります。

4.JIS・JGMAの測定項目について

日本で主に使用されるJISには旧規格と新規格があり、測定項目や各等級に求められる精度誤差も大きく異なります。歯形の精度評価ではJIS、かみ合いの精度評価ではJGMAをするため、各規格の測定項目もご紹介します。

規格測定項目
JIS B 1702 (旧規格)    単⼀ピッチ誤差、隣接ピッチ誤差、累積ピッチ誤差、 法線ピッチ誤差、⻭形誤差、⻭みぞの振れ
JIS B 1702-1:1998単一ピッチ誤差、累積ピッチ誤差、全歯形誤差、全歯すじ誤差
JIS B 1702-2:1998両歯面全かみ合い許容値、両歯面1ピッチかみ合い誤差許容値、 歯溝の振れ許容値
JIS B 1702-3:2008単一ピッチ誤差の許容値、累積ピッチ誤差の許容値、全歯形誤差の許容値、全歯すじ誤差の許容値、両歯面全かみ合い誤差の許容値、 両歯面1ピッチかみ合い誤差の許容値
JGMA116-2:1983両歯面全かみあい誤差の許容値、 両歯面1ピッチかみあい誤差の許容値

ギヤプラスでは、日本で良く利用されるJISとJGMAの規格一覧も掲載しております。設計や精度測定の際にご活用下さい。

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