グリース

プラスチック歯車に使用されるグリース

1. グリースが検討される理由とは?

プラスチック歯車は低速・軽荷重であれば基本的に無潤滑で使用されます。また、摩耗摩擦特性を向上させるために多くのプラスチック材料に摺動グレードなどが用意されています。しかし、歯車はすべり摩擦ところがり摩擦が組み合わさる断続的な運動で、高い荷重がかかることもあります。そのため、耐久性や強度、静粛性など要求がより高い場合は潤滑剤の使用が検討されます。

2. プラスチック歯車に用いるグリースとは?

一般的には歯車の潤滑剤による油膜形成は難しいが、プラスチックは軟質であるため比較的に油切れが起こりにくく、運転初期にグリースを塗布するだけで10⁷回転まで連続運転できることも珍しくありません。プラスチック歯車はメンテナンスフリーで使用される場合が多く、樹脂に優しく酸化安定性に有利な合成油グリースや高温下で化学的安定性に優れるフッ素グリースなどが使われています。また環境問題への対応からバイオプラスチックと共にバイオ潤滑油の研究も行われています。

3. グリース選択の検討事項と注意点

プラスチック歯車にグリースを使用する場合、潤滑性・耐熱性・耐樹脂性・酸化安定性・視認性などを考慮して最適なグリースを選択します。万が一適さないグリースを塗布した場合、グリースが樹脂組織に浸透し樹脂折れやひび割れなどの原因となるため、細心の注意が必要です。グリース選択でお困りの方はギヤプラスにご相談下さい。

(例)高負荷でのグリース潤滑の効果

高負荷における潤滑下の
騒音レベル

PGS(プラスチック・ギヤ・システム)研究所にて、無潤滑とリチウムグリースを塗布して潤滑したときの騒音測定試験を行いました。その結果、高負荷でのグリース潤滑では無潤滑と比較して、最大約8dB(A)低下したことが分かります。このように、グリース潤滑を行った場合には低騒音への効果も期待することができます。

<条件>
材質:POM(C) モジュール:1 歯数:30(駆動),31枚
歯幅;5㎜ 荷重:5N/㎜ 回転速度:100~1200rpm

歯車一筋だからこそ、
できることがある。

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