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PlasticGearBlog

2023.02.11

かみ合い精度が樹脂ギヤに与える影響とは?

プラスチック歯車のかみ合い精度は駆動トルクあるいは従動トルクの変動に大きく影響します。つまり、金属歯車より強度面で劣るプラスチック歯車では、かみ合い精度の向上が歯車強度の向上には欠かせないのです。今回は、かみ合い精度の基本と精度向上を実現した課題解決事例をご紹介します。

1.かみ合い精度とは?

嚙み合い精度とは、樹脂ギヤを検査用歯車(マスターギヤ)とバックラッシなしでかみ合わせて回転させた時の中心距離の変動のことです。もちろん、中心距離の変動が少ないほど低騒音で高効率な力の伝達が行えます。一方、かみ合い精度が悪いと歯当たりが悪くなり、振動や騒音の発生、強度の低下を招く可能性が高まります。

昨今の金属歯車の樹脂化の流れによりガラス繊維で強化したナイロンも選択肢に上がりますが、ガラス繊維の配向性により成形品が真円にならず、かみ合い精度が悪化するのが問題となっています。

2.かみ合い試験の精度評価

樹脂ギヤのかみ合い精度測定には、かみ合い試験機を利用して測定します。樹脂ギヤのかみ合い試験には、片歯面かみ合い試験と両歯面かみ合い試験が利用されていますが、今回は主に利用されることが多い両歯面かみ合い試験における精度評価についてご紹介します。

1.両歯面全かみ合い誤差

両歯面全かみ合い誤差とは、マスターギヤ(被検査用の高精度歯車)と検査用歯車の両歯面を同時に接触させた状態でマスターギヤを1回転させたときの中心距離の最大値と最小値の差です。つまり、歯車を1回転させた時の芯ずれ量を把握することができます。

2.両歯面1ピッチかみ合い誤差

両歯面1ピッチかみ合い誤差とは、マスターギヤ(被検査用の高精度歯車)と検査用歯車の両歯面を同時に接触させた状態で、マスターギヤを1回転させたときの各ピッチ間における最大の誤差で表します。つまり、単一ピッチにおける最大の振れ値です。

3.かみ合い精度誤差の原因と対策について

かみ合い精度誤差は、理想歯形に対する歯形誤差やピッチ誤差、負荷による弾性変形など様々な原因から生じるため、原因の特定も様々な角度からの検討が必要になります。かみ合い精度の向上には、かみ合い率やモジュール、ゲート点数の変更など設計側からのアプローチと樹脂ギヤの加工・成形精度の向上といった製作側からのアプローチで対策していきます。つまり、樹脂ギヤに関する豊富な知識と高度な設計・加工技術が、かみ合い精度の向上には欠かせないのです。

4.樹脂量削減&かみ合い精度向上を実現した事例紹介

ガラス繊維を使用した樹脂歯車のかみ合い精度を大幅UP

お客様が生産している成形歯車(ヘリカルギヤ)の材料はガラス繊維強化で、かみ合い精度確保のため多点ゲートを採用していました。ただ、その材料はとても高額で、なんとか材料費を減らしたいという相談内容でした。 このような場合、より安価な材料に切り替えて強度を確保する歯車設計に変更するというアプローチもありますが、今回は材料変更は不可能とのことでした。また一般的にランナーやゲート部は粉砕して再生材として使用しますが、ガラス入りの場合はリサイクル工程で繊維が粉砕されて短くなり強化性能が落ちるので、100%ヴァージン材使用を要求されているのも悩みの種とのことでした。

5.まとめ

かみ合い精度は、マスターギヤと検査歯車をかみ合わせた時の中心距離の変動のことです。かみ合い精度誤差は歯車の強度・振動・騒音と直接関係する非常に重要な精度になりますが、原因追究が非常に難しく、精度向上には高度な設計・加工技術が求められます。ギヤプラスでは樹脂ギヤのかみ合い精度試験はもちろん、かみ合い精度を向上させる歯車金型の設計・製作でも豊富な実績がありますので、「樹脂ギヤのかみ合い精度」でお困りの際はお気軽にご相談下さい。

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