近頃、プラスチックギヤ金型を製作したがギヤの精度が出ない、騒音が大きくて困っているとの相談が多く寄せられてきます。その中には、歯車金型の精度不足や最適な金型構造設計でないことも少なくありません。今回は金型精度が歯車品質に与える影響や、金型製作を依頼する際のポイントなど加工先選定時に役立つ情報をご紹介します。

１．歯車金型に高精度加工って必要なの？

プラスチックギヤは一般的なプラスチック製品とは異なり、回転運動を正確に伝える機械要素であるため同心であることや歯形精度が非常に重要です。そのため、プラスチックギヤ金型では歯形と形状を賦形する入れ子の同軸度や寸法において高い精度が求められるため、高精度加工が必要です。

２．金型の精度不足が引き起こす品質不良とは

１．要求する歯車精度を満たせない

成形品の精度は入子の歯車精度より悪くなるため、製品に求める精度以上で入子を製作しなければなりません。さらに、放電加工によりギヤ形状を加工する場合、電極の歯形精度より入子の歯形精度は悪くなります。つまり、電極精度は要求される歯車精度よりも高精度に製作する必要があります。そのため、電極・入子のギヤ精度が悪いと成形品の歯車精度を満たせないのです。

２．騒音の発生や歯の損傷

プラスチックギヤの精度不良やバラツキは、騒音の発生や歯の損傷の原因になります。しかし、歯車の騒音は金型精度・樹脂・形状など様々な要因に左右されるため原因の特定が非常に難しく、専門的な知識と経験が求められます。

３．バリの発生

金型のPL(パーティングライン)面の加工不良や型合わせ精度不良などにより成形品にバリが発生すると、バリ取り作業の増加や金型寿命を縮めることがあります。

以上のように、プラスチックギヤ金型のモールドベースや入子の精度が悪いと高精度なプラスチックギヤを製作することができないだけでなく、金型修正など多くの時間を要します。そのため、高品質な歯車生産においても加工先選定は重要です。

３．歯車金型の製作を依頼する際のポイント

歯車金型は多くの金型メーカーで製作されており、どこに相談・依頼すればいいのか迷われている方もいらっしゃると思います。そんな方に知って頂きたい、「プラスチックギヤの金型製作を依頼する際のポイント」についてご紹介します。

１．歯車金型の豊富な実績があるか

歯車金型の場合は、ただ高精度な金型を製作すれば良いわけではなく、樹脂と歯車の両方において豊富な知識と経験が求められます。

幅広いプラスチック製品を製作する金型メーカー様へ歯車金型を依頼したお客様より、「現在の歯車精度以上に改善することはできないと言われた」「歯車の騒音・耐久性の相談ができない」とのご相談を頂きますが、金型の再製作や再打合せなど余計な時間とコストが大幅に増えてしまいます。

そのため、プラスチックギヤ金型の場合は安心して相談できる歯車メーカーへ相談して頂く事をオススメしています。高品質な歯車金型を短時間・低コストで製作できることに加え、VE/VA/コストダウン提案も期待できます。

２．ミクロン単位で加工できる工作機械の保有

歯車の要求精度が高いほどミクロン単位で加工できる高精度な工作機械が必要です。高精度加工が可能な工作機械を使用することで製品寸法のバラツキも少なく抑えることができるため、安定した歯車生産が可能になるのです。保有設備を確認することで高精度なプラスチックギヤ金型を製作できそうか見極めることができます。

４．まとめ

今回は、金型精度が歯車品質に与える影響や、金型製作を依頼する際のポイントについてご紹介させて頂きました。この記事を通して、高品質なプラスチックギヤ金型を製作するための一助になれたら幸いです。ギヤプラスでは、鼓形ウォームホイールの量産金型や300万ショットを実現した高耐久性プラスチックギヤ金型の製作も行っております。プラスチックギヤ金型でお困りの際はお気軽にご相談下さい。